腕時計の日付の合わせ方をプロが徹底的に解説

「腕時計の日付合わせ方はどうやるの?」
「適当に回したら壊れるって本当?」
このような疑問をもち、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。
結論からお伝えすると、腕時計の日付合わせには「壊さないための絶対的な手順」が存在します。
なんとなくリューズを回してしまうと、内部の歯車が欠けたり、故障の原因になったりするため注意が必要です。
本記事では、時計修理のプロとして現場経験のある立場から、
・正しい日付合わせの3ステップ
・絶対に操作してはいけない「禁止時間帯」
を体系的に解説します。この記事を読めば、大切な時計を長く愛用するための正しい操作方法を理解できます。
実際の作業を確認したい方は、記事元となった動画もあわせてご覧ください。
目次
腕時計の日付合わせ方3ステップ

日付合わせの手順は、どの時計でも基本的に同じ考え方です。
いきなり「今日の日付」に合わせるのではなく、「昨日」を経由させるのがポイントです。
動画の実演をもとに、具体的な手順を解説します。
ステップ1:日付を「前日」に合わせる
まず、リューズを1段引いて「カレンダー早修正モード」にします。
ここで今日の日付に合わせるのではなく、あえて「1日前の日付(前日)」に合わせてください。
例えば、今日が30日なら「29日」に設定します。
いきなり今日の日付に合わせると、時計内部が「今は午前なのか午後なのか」を認識できないため、昼の12時に日付が変わってしまうなどのズレが生じます。
ステップ2:針を回して「午前・午後」を認識させる

次に、リューズをもう1段引いて「時刻合わせモード」にします。
この状態で針を順回転(進む方向)に回していきます。
針を進めていくと、あるポイントで日付が「パシャッ」と変わります。その瞬間が時計にとっての「深夜0時」です。
これで、時計が「ここから先は今日の午前中だ」と認識できました。
ステップ3:正確な時刻に合わせて完了

日付が変わったら(深夜0時を通過したら)そこからさらに針を進めて現在の時刻に合わせます。
例えば、作業しているのが「午後4時」なら、日付が変わった後さらにもう1周(12時間分)させて、午後4時の位置まで針を持っていく必要があります。
最後に、秒針が0秒(12時の位置)に来たタイミングでリューズを押し込めば完了です。
絶対にやってはいけない「日付変更の禁止時間帯」

日付合わせにおいて、手順以上に重要なのが「操作してはいけない時間帯」の存在です。
ここを無視すると、高確率で故障につながります。
夜9時から翌朝3時は「操作厳禁」
一般的に夜の9時から翌朝の3時の間は、日付の早送り操作をしてはいけません。「日付変更禁止時間帯」などと呼ばれています。
なぜこの時間に合わせると壊れるのか?
この時間帯は、時計の内部で「日付盤を回すための歯車」がすでに噛み合い始め、日付を変える準備運動をしている最中だからです。
歯車同士がガッチリ噛み合っている状態で、外から無理やり日付を動かそうとすると、歯車同士が干渉し、歯が欠けたりパーツが破損したりする原因になります。
「夜に時計を見たら日付がズレていた」という場合でも、その場で直すのは危険です。
一度、針を「夕方6時」などの安全な時間帯まで進めてから、日付操作を行うのが鉄則です。
・まずは「前日」の日付に合わせる
・針を回して深夜0時を通過させ、午前/午後を確定させる
・禁止時間帯(21時〜3時)の日付操作は避ける
この3つのポイントを守るだけで、時計のトラブルは激減します。
そして時計についてさらに知識を深めたいのであればぜひこちらをご確認くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。
藤本信和
一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。
時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。
21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)