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自分で時計を磨くことはできる?プロが研磨事例をもとに解説

※この記事は、時計修理の現場で実際に起きているトラブルをもとに解説しています。

「時計の傷が気になるから、自分で磨いてきれいにしたい」
「市販の研磨剤やクロスを使っても大丈夫?」


このような疑問をもち、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。

結論からお伝えすると、時計のケースを自分で磨くのはおすすめしません

表面のくすみを取る程度なら可能ですが、深い傷を消そうとすると時計の形そのものが変わってしまい、資産価値を大きく下げるリスクがあるからです。

一方で、プラスチック製の風防であれば、セルフケアである程度きれいに修復することが可能です。

本記事では、時計修理のプロとして現場経験のある立場から、

・自分で磨くことのリスク(エッジのダレ)

・手作業とプロの機械研磨の決定的な違い

・時計の価値を守るための正しい手入れの考え方

を体系的に解説します。この記事を読めば、大切な時計を「磨くべきか、プロに任せるべきか」の正しい判断ができるようになります。

記事元となった動画もあわせてご覧ください。

時計を自分で磨くリスクとは?

多少は綺麗になることを伝えている画像

市販の研磨剤入りクロスなどを使えば、確かに金属の表面はピカピカと光沢が出ます。

しかし、プロの目から見ると、それはきれいになったのではなく「形が崩れた」状態であることが多いのです。

時計のエッジが丸くなる

時計にはデザインの命とも言えるエッジと呼ばれる角があります。面と面が合わさる鋭い部分です。

手作業で柔らかい布を使ってゴシゴシ磨くと、このエッジまで削れてしまい、角が丸くなってしまいます。これを専門用語で「ダレる」と言います。

一度丸くなってしまった角は、簡単には元に戻せません。全体的にボヤッとした締まりのない印象の時計になってしまいます。

ヘアラインが消えてしまう

注意点が存在することを言っている画像

多くの時計は、ピカピカの「鏡面仕上げ」と、筋目を入れたつや消しの「ヘアライン仕上げ」が組み合わされています。

自分で磨くと、このヘアライン部分まで磨いてしまい、つや消しであるべき場所が光ってしまう失敗が非常に多いです。

ヘアラインを避けながら、鏡面部分だけを完璧に磨き分けるのは、プロでもマスキングや専用工具を使う繊細な作業です。

手磨きと機械研磨の決定的な差

動画内では、実際に手作業での研磨専用モーターでの研磨を比較検証しました。その結果、仕上がりのクオリティには歴然とした差が出ました。

手作業では小傷が消えきらない

小傷を見せている図

研磨剤入りの布を使って手で磨いた場合、表面の艶は出ますが、擦ったような小傷や深い傷は完全には消えません

傷を消そうとして長時間こすり続けると、エッジのダレや変形のリスクが高まります。

「何時間もかけて磨いたのに、傷が残って形だけ崩れた」という結果になりかねません。

プロの研磨は形を変えずに傷を消す

機械を使って研磨した図

一方、プロが使うバフモーターの場合、強い力と回転数で一気に仕上げるため、短時間で鏡のような美しい面に仕上がります。

重要なのは「形を変えずに傷だけを消す」こと。これには、何段階もの工程と熟練の技術が必要です。

また、リューズ周りのパイプなど、防水に関わる精密な部分を変形させないよう、細心の注意を払って作業しています。

自分で手入れできる部分、できない部分

プラスチック風防の時計

では、すべての時計磨きがNGかというと、そうではありません。素材によっては自分で手入れ可能な箇所もあります。

プラスチック風防なら自分でも磨ける

アンティーク時計などに使われている「プラスチック風防」であれば、樹脂製なので比較的柔らかく、コンパウンドを使って自分で傷を消すことができます。

これなら、DIYでの時計手入れ方法として有効です。

金属ケースの傷はプロに任せるのが正解

ステンレスやゴールドなどの金属ケースに関しては、表面の汚れを拭き取る程度にとどめ、傷取りのための研磨はプロに依頼することを強くおすすめします。

特にロレックスなどの高級時計は、研磨の回数にも限界があります(例:デイトジャストで約7回程度)。

下手な研磨でケースが痩せてしまうと、買取価格などの資産価値が下がる原因にもなります。

大切な時計の価値を下げないためにも、日頃の時計手入れ方法としては柔らかい布での拭き上げにとどめ、傷が気になった際は専門店での研磨を検討してください。

そして、研磨まで学べるオンラインウォッチアカデミーに少しでも興味がある場合、こちらをご確認くださいね。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。

藤本信和

一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。

時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。

21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)