【永久保存版】自動巻き腕時計の正しい巻き方、使い方を徹底解説

「自動巻きの時計、どうやって巻くのが正解?」
「振ってもなかなか巻き上がらない気がする」
「止まったまま置いておくと壊れる?」
と思い、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。
結論からお伝えすると、自動巻き時計は「手で持って激しく振る」のはNGです。
止まっている状態からは、リューズを使って少し巻き上げ、その後は腕の動きや「ある特殊な振り方」で効率よく巻くのが正解です。
本記事では、時計修理技能士として現場経験のある立場から、
・自動巻き時計の仕組みと正しい巻き方
・プロがおすすめする「スナップ」を使った巻き技
・ワインディングマシーンや保管時の注意点
を体系的に解説します。この記事を読めば、自動巻き時計の寿命を延ばすための正しい扱い方を理解できます。
記事元となった動画もあわせてご覧ください。
目次
自動巻き時計の正しい巻き方

自動巻き時計は、その名の通り「自動」で巻かれる便利な時計ですが、止まっている状態から使い始める際には、少しコツが必要です。
まずは基本的な仕組みと、始動させるための手順を解説します。
まずはリューズで「きっかけ」を作る

自動巻き時計は、内部にある「ローター(回転錘)」という部品が腕の動きに合わせて回転し、ゼンマイを巻き上げる仕組みになっています。
しかし、完全に止まっている状態から、いきなり腕につけたり振ったりするだけでは、動き出しのエネルギーが不足しがちです。
まずはリューズのロックを解除し、手巻き機能を使ってゼンマイを巻きましょう。
完全に巻き上げるには40回ほど回す必要がありますが、動き出すきっかけを作るだけであれば、10回〜20回ほど回せば十分です。
激しく振るのはNG!正しい「振り方」がある

「自動巻きだから振ればいいんでしょ?」と思って、時計をガチャガチャと激しく振ったり、叩くように振ったりしていませんか?
これは非常に危険です。内部にある繊細なパーツである「ヒゲゼンマイ」が絡まったり変形したりする恐れがあります。
私のおすすめする巻き方は、「スナップを効かせて、手首の柔らかい部分に当てる」方法です。
1. 時計を利き手で持つ
2. 手首のスナップを効かせて、反対の手のひら(親指の付け根の柔らかい部分)に、ポンポンと軽く当てるように振る
こうすることで、内部のローターが効率的に回転し、ただ闇雲に振るよりも確実にゼンマイを巻き上げることができます。
内部構造:ローターがゼンマイを巻く仕組み
なぜこの振り方が良いのか、少し専門的な話をしましょう。
時計の裏蓋を開けて中を見ると、半円形のローターがあります。これが回転することで、「切替車(赤い歯車)」→「角穴駆動車」→「角穴車」へと力が伝わり、最終的に香箱の中にあるゼンマイが巻かれます。
先ほど紹介したスナップを効かせる方法は、この一連のギアの伝達をスムーズにし、ローターの回転力を無駄なくゼンマイに伝えるためのテクニックなのです。
自動巻き時計を使う上の注意点
自動巻き時計は精密機械です。長く使い続けるためには、巻き方以外にも知っておくべき注意点があります。
「止まる」のは故障ではない
「金曜日の夜に外して、月曜日の朝に着けようと思ったら止まっていた。故障かな?」と焦る方がいますが、これは正常な動作です。
多くの自動巻き時計の駆動時間は、一般的に40時間〜50時間程度です。
週末の2日間放置すれば、ゼンマイが解けきって止まるのは計算通りの挙動です。故障ではないので、再度リューズで巻いてあげれば元気に動き出します。
ワインディングマシーンの意外な落とし穴

時計を自動で巻き上げてくれる「ワインディングマシーン」
毎日時計を着けない方にとっては便利ですが、使い方には注意が必要です。
例えば、1ヶ月や2ヶ月といった長期間、「使わないのにマシーンにかけっぱなし」にするのはおすすめしません。
マシーンにかけている間、時計はずっと動き続けています。つまり、人間で言えば休まず走り続けている状態です。
実際に腕に着けていないのに、内部の歯車は摩耗し続け、油も劣化していきます。
長期間使わないのであれば、マシーンから外して「止まった状態」で保管するのも、部品の摩耗を防ぐ一つの賢い方法です。
ローターの回転方向を確認する
ワインディングマシーンを使う場合、もう一つ重要なのが「回転方向」です。
自動巻きのローターには以下の3つのタイプがあります。
・両方向巻き上げ
・右回転のみ巻き上げ
・左回転のみ巻き上げ
お持ちの時計が「片方向巻き上げ」のタイプだった場合、マシーンの設定を間違えると、いくら回しても空回りして全くゼンマイが巻かれないという現象が起きます。
ご自身の時計がどのタイプか、事前に仕様を確認しておきましょう。
メンテナンスは3年〜5年に一度
正しい巻き方や保管方法を守っていても、機械である以上、内部の油は乾き、部品は摩耗します。
これを放置して使い続けると、最終的に高額な修理代がかかる大きな故障につながります。
3年から5年に一度は必ずオーバーホールを依頼し、消耗したパーツの交換や新しいオイルの注入を行ってください。
そして、時計をしっかりと内側から学びたい場合、ぜひこちらも参考にしてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。
藤本信和
一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。
時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。
21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)