時計修理技能士3級の試験内容と取得までの最短学習方法を紹介

「時計修理技能検定の3級って難しい?」
「検定ってどんな内容?」
と思い、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。
結論からお伝えすると、検定内容は主に電池の交換、パッキンのグリスアップ、バンドの取り付けと取り外し、コマ詰め、裏ぶたの開閉、時刻合わせ、包装ですが、検定の内容は変更になる可能性があります。
また、検定の難易度はそれほど高くなく、合格率は69%と高いです。
本記事では、時計修理技能士として現場経験のある立場から、
・より詳細な検定内容
・受検日時
・勉強の仕方、対策方法
を体系的に解説します。この記事を読めば、時計修理技能検定の3級を取得するための道筋を理解できます。
目次
時計修理技能検定3級の内容紹介

検定内容はネット上で確認することはできません。検定に申し込むことでその年度の検定内容を知ることができます。
ただし、過去問として中央職業開発能力協会が職種別に公開をしています。
https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/giken/giken_jisshi_itiran.html
また、YouTubeなどでは過去に出題していた問題などはまとめられていますので、ぜひご確認ください。
2025年度の検定内容
今年の検定内容はこちらです。
・電池の電圧測定
・バンドの取り付けと取り外し
・コマ詰め
・裏ぶたの開閉
・消費電流測定
・裏ブタパッキンのグリスアップ
・時刻合わせ
・電池寿命の計算
・包装
時間は1時間で実際に時計の販売時の業務を想定した内容。
ですので新品の状態の時計を触ることになります。これは2級も1級も変わらず。この中で難しい点としてはいかに傷をつけずに正確に作業を進めるかに尽きます。
受検者の中にはまだ作業に携わって日が浅い方もいます。
そんな場合でも時間内に余裕をもって完了させるために事前の対策と練習を重ねましょう。
また、梱包は普段行わない方もいるかもしれません。とはいえ、練習を重ねれば誰でも一定のレベルに到達するので課題と極力同じサイズの箱や木型を準備した上で臨みましょう。
【注意】課題時計が変更になる場合がある
注意したいのは、過去問の対策をばっちり行ったとしても、検定で扱う時計の変更がたまに行われることがあります。ただし、基本的な流れは同じなので検定内容が発表されてから最終練習に取り組む形でも大丈夫です。
過去問の対策はあなたの時計修理技術の基礎を築くという点で非常に有効なので、ぜひ繰り返し練習を行ってみてくださいね。
私が過去に公開した3級の過去問対策動画はこちら。
【時計修理技能検定】技能検定3級で出題された作業をデモンストレーション!【前編】|オンラインウォッチアカデミー
【時計修理技能検定】技能検定3級で出題された作業をデモンストレーション!【後編】|オンラインウォッチアカデミー
難易度はそれほど高くはありません

ここまで説明しましたが、まだ時計修理を本格的に学んだことがない人からすると「それでも難しそう…」「先が見えない…」と思うかもしれません。
なので、過去のデータを用いてこれから説明していきます。
合格率69%の検定
東京都における2024年度の合格率は69%と比較的多くの方が合格することができています。受検資格もハードルが下がり、1日でも時計にまつわることを行っていたら受検が可能。
この点からもわかる通り、受検ハードルが下がってもなお、合格率は高いので検定自体の難易度もそれほど高くないことが分かります。
時計修理の基本的な内容である
2級以上はムーブメントを直接触るため相応の練習や実践経験が必要ですが、3級に関しては電池交換やコマ調整に留まります。
この3級で会場の雰囲気や時間配分に慣れたうえで、より上の級に挑戦するというのが、かえって最短距離で合格できる秘訣かも知れません。
対策は必須
難易度が高くないとお伝えしましたが、時計修理の勉強・対策は必須です。
工具を扱う上での力加減などディテールを理解していないと時計本体を傷つけたり、作業を行うことで時計を壊してしまう恐れがあるからです。
なので、検定内容を繰り返し行い、対策動画や資料などを何も見ずに1時間以内に行えるよう勉強していく必要があります。
毎年1度だけ受検可能

時計修理技能検定は令和7年の場合、
・受検申請受付10月2日から10月15日まで
・学科試験1・2・3級問わず2月1日開催
という流れになっています。詳しくは中央職業能力開発協会をご確認ください。
また、期間から分かるように申請の受付は2週間です。申請漏れが発生しうるため、メモ帳やカレンダーなどに記載して忘れないようにしましょう。
1年に何度も開催されるわけではなく、1度きりのため、慎重に申請を進めてくださいね。
受検までの手順
大前提として、技能検定は全国で行われていますが、地域によります。
なので、自分の住んでいる県では申し込みたい試験が行われていない、というケースも少なくないのであらかじめ自分の住んでいる県で実施しているのかご確認の上、申し込んでください。
各都道府県の実施公示状況はこちらからご確認くださいね。
各都道府県の実施公示状況
https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/giken_kouji.html
また、自分の住んでいる県、もしくは受検する県が決まったら、申請を行っていくのですが、主に下記の手順となっています。
(例)東京都での受検手続き
東京都で技能検定を受ける際は、東京都職業能力開発協会が申請窓口となります。
「技能検定(定期試験)」の案内ページにて、申請書の配布方法と受付先を確認し、申請書送付依頼フォームまたは窓口受け取りで書類を入手します。
必要書類がそろったら、所定の方法で受検申請を行ってください。
いつから勉強するのがオススメ?
手先の器用さであったり、情報を最短で詰め込めるのであれば2ヶ月。余裕を持って取り組みたいのであれば受検の半年前から勉強を始めたいです。
また、前者の2ヶ月も高い集中力、まとまった時間、トライアンドエラーを繰り返し行う、といった条件下での話のため、基本的には半年前からをオススメしています。
なぜかというと、先ほどもお伝えした通り「年に1度」しか受検することができないため、しっかりと対策した上で受検することで後悔することなく、その後の時計修理に向き合うことができると考えています。
合格への最短学習方法
3級合格までの最短の学習方法は、過去の出題内容を研究して繰り返し学習する他ありません。ただ、繰り返し学習、作業を行っていく上でも注意点があるためご紹介していきます。
工具類は安い工具類で済まそうとすると作りが悪いために、良い結果を伴いません。折れたり、力が入らなかったりするので、きちんと専門の工具店で専用品を選びたいです。
作業を繰り返し学習する

本来は仕事で毎日電池交換をするような業務の方を想定しています。そんな人と同様のレベルで作業をするためには、反復練習を重ねるほかありませんよね。
繰り返しなので途中で飽きるかもしれないですが、作業時間を記録して所要時間の短縮を目指したり、出来栄えの綺麗さを目指してみてください。また、可能であれば同じ課題時計を二つ準備して反復練習用と直前に模擬試験用として臨めばより合格の可能性は高くなります。
修理を教えてもらえる所に通う
最短の学習方法としては「学校に通う」ことが何よりも最短の道です。
これまで何十年と時計修理を行ってきた職人の方に実際の作業を見てもらうことで、適宜修正、何が良くて何が悪いのかを初心者の段階で理解することができるでしょう。
逆に独学の場合は、正解、不正解を判断することが難しく、間違った情報を「正」だと思い込み、受検してしまう可能性が高いです。
なので、実際に時計の学校に通い、長期間、修理の勉強をすることが最短で時計修理技術を身につけることができると思っています。
ですが、実際に学校に通うことが難しく、また独学で学ぶ自信もない…という場合、「オンラインで学ぶ」という選択肢もあります。
私が運営している時計修理技能検定の1級から3級まで対策可能なオンラインウォッチアカデミーの募集要項をぜひご確認くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。
藤本信和
一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。
時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。
21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)