職業訓練で時計修理技能士になれる?学べる場所やその他の手段を解説

「時計修理って職業訓練で学べるの?」
「学べたとしてどのぐらいまで修理できるようになるの?」
このような疑問をもち、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。
結論からお伝えすると、大阪府にある職業訓練校のみで学ぶことができます。
そして、講師は1級技能士と指導員免許を取得した方が携わっており、実践的な内容を学ぶことができます。ですので、資格取得にも大いに役立ちます。
本記事では、時計修理技能士として現場経験のある立場から、
・どんなことを学べるのか
・修理技術を身に付けたその先
・職業訓練以外で技術を身につける方法
を徹底解説します。この記事を読めば、時計修理を学ぶ際の選択肢が広がることでしょう。
そして、学んだ後、あなたがどのようになれるのか?を理解することができます。
目次
職業訓練で時計修理技能士は学べる?

職業訓練とは、主にハローワークが窓口となっている就職や転職を目的に必要なスキルを身につけるための公的な訓練制度です。
まず、職業訓練は公共職業訓練と求職者支援訓練に分けられているため、表で説明します。
公共職業訓練
・雇用保険の受給者向け
・訓練期間中は失業給付を受けながら通える
・競争率が高いことが多い
求職者支援訓練
・雇用保険を受給できない人向け
・条件を満たせば月10万円の給付金
・比較的応募しやすい
・対象者は主に失業中、転職希望者、スキルアップしたい人となっている
どこでも時計修理が学べるとは限らない
この職業訓練は都道府県ごとに分かれていて、募集している内容や定員も全く異なります。
あなたの住んでいる場所で行なっている内容をぜひこちらでご確認くださいね。
受講するためには面接等に合格する必要もあるので、時計修理の職業訓練があったとしても必ず受けることができるとは限らないので要注意です。
大阪の職業訓練校で唯一、時計修理を学ぶことができる

2026年1月現在、職業訓練で時計修理を学ぶことができる場所は、大阪にしかありません。
正式名称としては、大阪府時計高等職業訓練校(https://tokeikumiai.com/osaka/school.html)となっており、設立は昭和33年12月と非常に古い歴史を持っている学校です。
定期的にブログを更新しているのでぜひこちらもご確認くださいね。
時計修理を実務レベルまで学ぶことができる
HPから引用したカリキュラム内容はこちらです。
・各種時計の修理・調整実習
・各種時計の分解組立実技
・機械操作実習
・各種学科(電子工学概論・機械工学概論・時計概論・製図・安全衛生など)
・各種工具作成
・安全衛生作業法
・器工具使用法
・彫金・スケルトン時計制作
また、これらは1年間のカリキュラムとなっており、毎週3日、主に火・水・木・土の学習。
時間は午前9時30分から午後5時30分との記載がありました。
年間で見ると時計修理を学ぶことのできる専門学校と合計の学習時間はそれほど変わらないため、専門的な知識をしっかりと時間を使いながら学ぶことができます。
私が以前、講師として勤務していた立場からこのカリキュラムを見るとより実践的な内容に特化しており、短期間で必要最低限の知識、スキルを学ぶには最適な内容に見受けられます。
逆に言うと一年間で習得できる量には限りがあるので異なる機械を触ったり、深堀するには物足りないかもしれません。その辺りは働きながら補うのが効果的です。
時計修理技能士の学科試験免除などの利点がある

また、技能検定の2級技能士試験の学科試験が免除されたり、修了後6年間の実務経験で、職業訓練指導員免許の受検資格が取得できたりと資格のみならず、将来的に非常に有利な条件で学ぶことができます。
そして、講師は全員1級技能士と指導員免許を取得した方が携わっているため、実際の試験に役立つアドバイスをいただくことができるでしょう。
年間でかかる費用は656,000円
HPに記載されていた令和8年の情報を参照します。
入学費用
入 学 金 30,000円
授 業 料 480,000円(一括納入は20,000円引)
年間教材費 100,000円
計 610,000円 (一括納入は590,000円)
※大阪時計宝飾眼鏡商業協同組合に加盟していない非組合員は別に66,000円を納入して組合員資格を取ってから入学手続を行って下さい。
但し、近畿時計宝飾眼鏡小売組合連合会に加盟する組合員の従業員は大阪時計組合の事務局へご相談下さい。 その内訳はつぎのとおりです。
組合加入金20,000円(一切返還しない)
組合出資金10,000円(組合退会のとき返還)
年間賦課金36,000円
小計66,000円
上記で一括納入した場合の金額は656,000円、分割の場合は676,000円となります。
一見、費用が高く見えるかもしれませんが、1年間の学習に加え、工具の貸し出しも行なっているため、安価な金額で最短の道で学習することができると言えます。
専門学校などでは一般的に工具は購入が必須で近年、物価の高騰に伴い、工具も非常に高くなっているため、一式揃えようとすると10万円以上はかかってしまいます。
なので、その費用が浮くため、挑戦しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
ですが、「それぞれ必要と思われる工具は個人で購入してもらいますが」との記載もあるので、最低限の工具以上のものは自分で用意することがあることを理解した上で申し込みを行なってください。
また、専門学校との費用の比較はこちらの記事をお読みください。
申し込みは先着順
申込はHPを確認すると「先着順」との記載があり、人数も限られています。
募集する日程も決められているので、申し込む意思がすでに固まっている場合は、募集開始後すぐに申し込むことをオススメします。
入学要項としては下記が記載されていました。
訓練生定員:15名
次年度の訓練生の受付および募集要項の送付:10月から(2月末まで)
訓練期間:1年間(所定の時間数、毎週3日で主に火・水・木・土)
訓練時間:午前9時30分~午後5時30分
教 室:大阪時計組合ホール
※訓練期間などは先ほど説明したため、除外させていただいております。
時計関連の就職は簡単ではない

1年間、時計修理の勉強をしても就職は簡単ではありません。
ただ、希望はあり、HPに記載されている【ご案内】よくあるお問い合わせ(
https://watchschool.blogspot.com/2019/08/blog-post.html)では下記の記載があります。
引用:求人等は学校にも来ることはありますので、講師等へ相談することは出来ます。ただ学校の推薦というものはありません。個人でアプローチして頂くことになります。
つまり、動き方や年齢、ポジション次第で、就職することも不可能ではありません。
年齢・未経験はどこまで影響する?
年齢は若い人ほど有利なのは時計業界でも変わりません。
20~30代前半でないと難しいのは実際に良く聞く話です。ただし、例外もあって40代未経験や50代から工房を開業された方がいらっしゃるのも事実です。
幸い時計修理業界は日ごろから求人が出ていることも多いので、求職者が住んでいる地域や業種によっては就職できる確率も高いでしょう。
就職しやすい人・難しい人の違い
どんな職種でもいとわないという方は仕事につける確率は高いです。
皆が憧れる人気ブランド、高級ブランドは専門学校で優秀な成績を収めていないと難しいでしょう。ですが、修理の一段階前の見積もり業務だったり、電池交換、修理受付、検品や外装部品の研磨作業は普段から求人情報を見かけることが多いです。
そういった情報に普段からアンテナを張り巡らせられるか否かで将来の仕事内容は変わってくると言えます。
時計修理技能士になるための他の手段

時計修理技能士になるには、職業訓練以外の方法も存在するので、今回は「通学型」「オンライン型」に分けてご紹介します。
通学型の時計修理スクール
通学型は下記が挙げられます。
・ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
・近江時計眼鏡宝飾専門学校
また、ヒコ・みづのジュエリーカレッジでは夜間での講習も行なっているため、仕事帰りなどに通学することが可能です。
また、通学型の強みとしては成長速度が早く、就職支援も行なっていただける点は非常に大きな強みと言えるでしょう。(夜間は適用外)
時計修理の内容に関しても網羅的に学ぶことができ、短期間で技術を習得することが可能です。
もし業界への就職を希望している場合は、通学型で学び、進路を相談してくださいね。
オンライン時計修理スクール
業界への就職や技術習得までにそこまでスピード感を求めていない、もしくは自分のペースで進めたいという方にとってオンラインスクールは非常に有効です。
「オンラインではしっかりと内容を学べないのでは…」と思う方に私の運営しているオンラインウォッチアカデミーのカリキュラムをご紹介すると、
・手巻き
・自動巻き
・クォーツ式
・時計座学
・時計修理技能検定対策
これらに加えて、講師への質問無制限、受講生同士のコミュニティチャットなど、様々な要素を盛り込んでいます。
なので、資格を取得したい、副業に活かしたい、もちろん本業に活かしたいという方でも役に立つ内容です。
ぜひ募集要項をご確認の上、どの形で学ぶのが自分に合っているのか考えてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。
藤本信和
一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。
時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。
21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)