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腕時計の「正しい巻き方」手巻きと自動巻きの違いをプロが解説

時計の巻き方について語っているYouTube動画のサムネイル

「腕時計の正しい巻き方がわからない」
「毎日巻いているのに、なんだか調子が悪い気がする」


このような疑問をもち、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。

結論からお伝えすると、「手巻き時計」と「自動巻き時計」では、正しい巻き方のルールが正反対です。

手巻きは毎日決まった時間に全巻きが正解ですが、自動巻きで同じことをすると、内部の精密パーツが摩耗し、寿命を縮める原因になります。

本記事では、時計修理技能士として現場経験のある立場から、

・手巻き時計の寿命を延ばす「24時間ルール」

・自動巻き時計でやってはいけない「手巻きのしすぎ」

・プロが推奨する指の動かし方(往復運動)

を体系的に解説します。この記事を読めば、あなたの大切な時計を10年、20年と長く使い続けるための正しい操作が身につきます。

記事元となった動画もあわせてご覧ください。

前編
後編

手巻き時計の正しい巻き方:寿命を延ばすコツ

手巻き時計を使っている方の中には、「止まってから巻く」「気がついた時にこまめに巻く」という方がいますが、実はそれはNG行為です。

金属疲労によるゼンマイ切れを防ぐためには、明確なルールが存在します。

1日1回「決まった時間」に巻くべき理由

1日1回、決まった時間に巻いてくださいと伝えている図

手巻き時計は、1日に1回、決まった時間(例:毎朝7時)に巻くことを強くおすすめします。

なぜなら、ゼンマイは金属の板だからです。文房具のクリップを想像してください。大きく曲げ伸ばしを繰り返すと、金属疲労で折れてしまいますよね。

時計のゼンマイも同じで、完全にほどけた状態から巻き上げる行為は、ゼンマイを大きく曲げることになり、負担がかかります。

毎日決まった時間に継ぎ足し充電のように巻くことで、ゼンマイの曲げ伸ばしの幅を小さくし、金属疲労を最小限に抑えることができます。これが本来10年持つゼンマイを長持ちさせる秘訣です。

往復運動で静かに巻く

時計を実際に触り実践している図

実際に巻く時の手順ですが、リューズを親指と人差し指でつまみ、指を離さずに「往復運動」で巻き上げます。

1. 奥(12時方向)に回して巻く

2. 指を離さず、つまんだまま手前に戻す

3. これを約40〜50回繰り返し全巻き状態にする

ポイントは、手前に戻す時に指を離さないこと。

内部には「コハゼ」という逆回転防止のパーツがありますが、指を離してパチッと音を立てて戻すと、部品同士が摩耗してしまいます。

指を添えたまま静かに戻すことで、部品の摩耗を遅らせることができます。

恐れずに全巻きまで巻き切る

全巻きを推奨している様子

「巻きすぎると切れるのでは?」と怖がって、途中で止めてしまう方がいますが、これも良くありません。

ゼンマイのパワーを最大限に活かし、精度の安定を図るためにも、これ以上巻けないと止まる位置までしっかり巻き上げてください。

自動巻き時計の巻き方と注意点

次に自動巻き時計です。こちらは手巻き時計とは真逆で、リューズでの手巻きは最小限にするのが鉄則です。

手巻きのしすぎは切り替え車を壊す

酷使すると寿命が縮むことを伝えている図

自動巻き時計もリューズで巻くことは可能ですが、手巻き時計のように毎日リューズで巻き上げるのはやめてください

自動巻きには「切り替え車」という精密なパーツが入っており、リューズで手巻きをすると、この歯車が高速で回転し、激しく摩耗します。

このパーツが摩耗して交換になると、例えばロレックスのエクスプローラーIIクラスであれば、修理費が8万円〜10万円ほどかかってしまうケースもあります。

止まった時の再始動は10回巻きで十分

10回くらいを目安に巻くことを伝えている

では、自動巻き時計が止まってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。

時計を振るだけではトルク不足で精度が出ないため、最初はリューズを使います。ただし、巻く回数は約10回で十分です。

あくまで動き出すきっかけを作るためだけに巻き、あとは腕に着けて、歩いたり仕事をしたりする動作で自動的に巻き上げるのが、部品を傷めない理想的な使い方です。

巻き方論争:一方向か?往復か?

視聴者からの質問に答えている図

「オメガやチューダーの直営店では、往復させずに一方向に巻くように言われた」という声をよく聞きます。これについてのプロの見解をお伝えします。

自動巻きなら一方向でも間違いではない

実は、自動巻き時計は内部構造上、リューズを戻す時のロック機構(コハゼのような役割)が手巻き時計よりも負担が少ない作りになっています(角穴駆動車などが担うため)。

そのため、メーカーの店員さんが言うように、一方向に巻いて指を離しても、大きな問題はありません。

それでもプロが「往復」を推奨する理由

ゆっくり戻すことを伝えている図

自動巻きであっても往復運動でゆっくり戻しながら巻くことをおすすめします。

リューズを戻す際、内部では「キチ車」と「ツヅミ車」という歯車が噛み合ったりスリップしたりしています。

メンテナンスが行き届いていれば問題ありませんが、油が切れた状態で高速でスリップさせると、歯車のエッジが削れてしまうリスクがあるからです。

時計をいたわるという意味では、手巻き・自動巻きに関わらず指を離さずゆっくり戻すのが最も安全な巻き方と言えます。

ぜひ明日から実践して、良きウォッチライフをお過ごしください。

そして、時計についてもっと深く知りたい!というあなたはこちらをご覧くださいね。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。

藤本信和

一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。

時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。

21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)