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腕時計の正しい保管方法をプロが伝授|保管ケアまで網羅的に解説

時計の保管について語っているYouTubeの動画サムネイル

「腕時計を保管するとき、乾燥剤は入れたほうがいい?」
「ワインディングマシーンはずっと回しっぱなしで大丈夫?」

と思い、この記事を開いたあなた、こんにちは。

時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。

結論からお伝えすると、極端な乾燥や高温、そして動かしすぎは時計の寿命を縮めるリスクがあります。

良かれと思ってやっている保管方法が、実はベルトを劣化させたり、内部の油を痛めたりする原因になっているかもしれません。

本記事では、時計修理技能士として現場経験のある立場から、

・乾燥剤の正しい使い方とNGなケース

・ワインディングマシーンのリスク

・ソーラー時計の危険な置き場所

・長期間使わない時の最適な保管ケア

を体系的に解説します。この記事を読めば、あなたの大切な時計を守るための正しい保管方法を理解できます。

記事元となった動画もあわせてご覧ください。

乾燥剤は革ベルトにはNG

革バンドの場合注意が必要ということを促している

湿気を防いでサビを予防するために、保管場所に「乾燥剤」を入れている方も多いと思います。

しかし、時計の種類によっては、乾燥させすぎることが逆効果になる場合があります。

革の寿命を縮めてしまう

特に注意が必要なのが、革ベルトの時計です。

革製品はある程度の湿気が含まれていることで柔軟性を保っています。

乾燥剤を過剰に入れてしまうと、革の水分が奪われて硬くなり、ひび割れなどの劣化を早め、寿命を縮める原因になります。

一方で、ダイバーズウォッチなどの金属ブレスレットの時計であれば、乾燥剤による悪影響は考えにくいです。

内部の油への影響は考えにくい

「乾燥剤の成分が機械内部の油を劣化させるのでは?」と心配される方もいますが、最近の時計は気密性が高いため、パッキンを通してすぐに悪影響が出ることは考えにくいです。

ただし、何事も「適量」が大切です。

大量の乾燥剤の中に埋めるような保管は避け、適度に使用することを心がけてください。

ワインディングマシーンを使うリスク

油の負担が大きい箇所を説明している

自動巻き時計を常に動かし続けるワインディングマシーン。

便利ですが、修理技術者の視点から見ると、使い方によっては時計の消耗を早めるリスクがあります。

部品の摩耗が早まる可能性がある

時計は機械の塊であり、動いている間は常に部品同士が擦れ合っています。

特に心臓部である「脱進機」周りは負担が大きく、油の消耗も激しい箇所です。

ワインディングマシーンで365日休まず動かし続けるということは、それだけ部品の摩耗スピードを早めることになります。

1週間〜2週間程度の短期間であれば問題ありませんが、何ヶ月もかけっぱなしにするのは、油切れや部品の摩耗を招くため、個人的にはあまりおすすめしません。

メンテナンス不足の時計は特に危険

注意喚起の図

特に危険なのは、数年間メンテナンスをしていない時計をマシーンにかけることです。

油が切れた状態で無理やり動かすことになるため、部品が削れる「摩耗」に直結します。

逆に、定期的にメンテナンスをして油が十分にある状態であれば、マシーンにかけても故障にはつながりません。

ソーラー時計の保管場所に注意

時計へのダメージについて話している図

電池交換不要で便利なソーラー時計ですが、充電のために「直射日光」に当て続ける保管方法は非常に危険です。

熱による油の劣化とトラブル

時計の二次電池の画像

ソーラー時計を充電しようとして、窓際や車のダッシュボードなど、直射日光が当たり高温になる場所に放置するのは避けてください

時計自体が熱を持つことで、内部の二次電池が劣化したり、回路や油に悪影響を及ぼしたりします。

熱で油が流れてしまう

以前、私のロレックスをホットプレートに乗せて熱の影響を実験したことがあります。

その結果、熱によって粘度の下がった油が流れ出し、時刻合わせの感触が変わってしまいました

油が本来あるべき場所から流れてしまうと、摩耗や精度の狂いにつながります。ソーラー時計であっても、高温になる場所での保管は避けてください。

長期間使わない時の正しい保管ケア

「コレクションとして何年も箱に入れたまま」
「もったいなくて使えない」

このように長期間放置する場合も、注意すべきポイントがあります。

油は動かさないと固まる

機械油は、動くことで潤滑するという性質があります。何年も動かさずに置いておくと、油が乾燥したり劣化したりして固まってしまいます。

3年〜5年放置した時計を急に動かそうとすると、油が固着していて精度が出なかったり、うまく動かなかったりすることがあります。

たまには運動させてあげる

時計を適度に動かした方がいいと伝えている図

時計にとって一番良いのは、適度に動かしてあげることです。

「可愛い子には旅をさせよ」ではありませんが、たまに動かしてあげることで内部の油が行き渡り、固着を防ぐことができます。

また、保管環境としては以下の2点を意識してください。

湿気と紫外線を避ける:サビや文字盤の変色を防ぐため。
適度に動かす:油を循環させ、機械の調子を維持するため。

これらを意識するだけで、久しぶりに時計を取り出した時のトラブルを大きく減らすことができます。ぜひ実践してみてください。

湿気と紫外線を避ける:サビや文字盤の変色を防ぐため。

適度に動かす:油を循環させ、機械の調子を維持するため。

これらを意識するだけで、久しぶりに時計を取り出した時のトラブルを大きく減らすことができます。ぜひ実践してみてください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。

藤本信和

一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。

時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。

21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)