現在ユーキャンで時計修理技能士になることはできない?リサーチしてみた

「時計修理技能士の資格ってユーキャンで取れるの?」
「時計にまつわる資格を取りたい!」
と思い、この記事を開いたあなた、こんにちは。
時計修理歴約30年、600人以上に技術を伝えてきた藤本です。
結論からお伝えすると、ユーキャンで時計修理技能検定に関する講座はありません。過去に募集していたのかもしれませんが、現在は資格名を検索しても出てこないようになっています。
ですが、資格を取得する手段はユーキャン以外にも存在するので異なる観点からもご紹介していきますね。
本記事では、時計修理技能士として現場経験のある立場から、
・ユーキャンで受けることができる類似講座はあるのか。
・学習方法について
・時計修理技能士になることのメリット
・試験の難易度
・資格を取得したあとの未来
を体系的に解説します。この記事を読めば、どこで資格の勉強を行えばよいのか、また取得したあとの未来も明確になります。
目次
ユーキャンで時計修理技能士にはなれない

2025年12月現在、ユーキャンで時計修理技能士の勉強をできるコースは存在しません。そのため、それ以外の教材やスクールに通い、時計修理についての勉強をする必要があります。
なぜユーキャンでは開講されていないのか?
仮説ですが、時計修理技能検定では筆記テストも存在しますが、実技試験が大半を占めます。
細かい力の入れ方や操作、専門的な知識が重要になってくるので、教材だけではスキルの上達が望めないため、ユーキャン側も用意できないのではと考えています。
実際に私が運営するオンラインウォッチアカデミーにおいてはオンライン教材だけではなく、随時講師に質問可能、月に1回のライブ開催など、リアルタイムで疑問を解消する機会を設けているからこそ、資格合格者が続出しています。
ユーキャンで受けられる類似講座
時計にまつわる資格はCWC(ウオッチコーディネーター検定)が存在します。
こちらは時計修理技能検定とは異なり、筆記テストと合格後の実習がありますが、ユーキャンでの取り扱いはありませんでした。(2025年12月現在)
そのため、時計修理の資格を取得したい方は専門の学校やオンラインスクールのみが選択肢ということになります。
時計修理技能士になるための学習方法は3つ

学習方法は通学、オンライン、独学の「3つ」が存在します。それぞれのメリット、デメリットを簡単にお伝えしますね。
通学型スクールで資格を取得する
メリット
・先生の作業を目の前で見ることができる
・実技のフィードバックをすぐにもらえる
・スクールに通う強制力で作業が行える
・進路などを相談できる環境が整っている
デメリット
・費用が比較的高い
・通わないと学ぶことができない
・授業に遅れてしまった分を取り返すのが難しい場合がある
オンラインスクール(オンラインウォッチアカデミー)で資格を取得する
メリット
・いつでもどこでも学習できる
・メールでの質問も2営業日以内に返ってくる
・コミュニティで様々な知識を持った受講生と交流することができる
・通学式のスクールに比べ、安価な価格設定
・副業、本業にしている人からアドバイスをもらえる
デメリット
・実技に関してのアドバイスをもらいづらい場合がある
・モチベーションを自分で維持しないといけない
・進路の相談などは行うことができない
独学で資格を取得する
メリット
・費用が他の2つに比べて工具と時計のみを用意すればいいため、安価に揃う
・自分のペースで進めることができる
デメリット
・学んだ知識が本当に合っているのか判断できない
・全てが手探りのため、技術を習得するのに時間が倍以上かかる
・間違った知識で時計を壊してしまう可能性が高い
・うまくいかず、やる気を無くしてやめてしまう可能性がある
時計修理技能士の資格を取るメリット

資格を取得することで一定の信頼を獲得することができます。なので、就職や副業などに活かすことが可能で、例えば就職の場合だと、一次審査が通りやすくなったりなどのメリットもあります。
就職・転職の武器になる(メーカー/修理店)
時計修理技能検定の級、そして年齢にもよりますが、資格を有することで就職・転職を行う際、有利に働きます。
未経験で募集している求人が少ないからこそ、最初の書類審査を有利にするためにも資格を持っておくことも検討したいです。
特にメーカーになってくると、時計学校経由での求人がほとんどのため、未経験、更にほぼ独学の場合は受かることは皆無でしょう。
そのため、もし、メーカーへの勤務など、目指したいキャリアがある場合は時計学校への通学を検討してみてください。
副業・個人修理に活かせる
こちらの保有する級によりますが、オーバーホールなどをできるようになると時計の構造を詳しく理解することができるため、電池交換や修理を行い多様な時計の販売等が行えます。
その際、時計の目利きが必要になってきますが、時計市場の流れを掴むことで買った時の値段より高く販売することも可能になります。
もちろん、オーバーホールに習熟することで、修理依頼を請け負うことも事実上可能にはなります。
ですが、すでに何十年と時計修理を行っている企業や個人の修理店と比較されてもなお、依頼してもらうための強みが必要になってくるため、最初はあまりオススメできない手段と言えます。
趣味でやる場合のメリット(ただし実務経験が必要)
趣味で時計修理を学ぶことで、自分で時計の不調を見極めることが可能になります。
また、自分の時計を修理することができる、という点もありますが、高級時計や大事な時計などは自分で触りたくないと思うので、今回は除外しています。
この自分の時計の不調が分かるようになることでオーバーホールで高額請求になることを防いだり、事前に必要な修理を把握することも可能です。
あくまでも実務経験が必要ですが趣味として資格を取得したい方にとってもメリットがあると思っています。
試験の難易度とは?

先ほどもお伝えしたとおり、3級から1級まで存在し、それぞれ内容も違えば、合格率も全く異なります。
そのため、そんな試験の難易度についてもお伝えしていきます。
3級から1級までの合格率
参考数値として令和5年の東京都の合格率は1級30%、2級55%、3級69%となっています。
詳しくはこちらの記事でもご紹介しています。
試験内容について(2024年の内容)
・3級
基準の試験時間が1時間で最大1時間20分です。電池の電圧測定、バンドの取り付けと取り外し、コマ詰め、裏ぶたの開閉、裏ブタパッキンのグリスアップ、紙を用いた梱包などを行います。
・2級
基準の試験時間3時間で最大4時間です。現在一般的な時計として使われているアナログ水晶時計の分解、巻真交換、洗浄、組み立て、潤滑油の注入など一連のメンテナンス作業を行います。指定された時間内で作業を終えることが求められます。
・1級
試験時間4時間30分。出題範囲は2級のクォーツに加えて1級には機械式時計の分解掃除も含まれます。
いずれの級も合格基準は、100点を満点として、学科試験は65点以上、実技試験は60点以上です。
受検者がつまづくポイント
全ての試験に共通することですが、充分な技術力と共に検定を受ける際の時間配分も重要になってきます。
作業時間が決まっているため、不慣れな検定会場で丁寧に作業を行おうと思うと、案外今まで通りのパフォーマンスを出すことができません。
一つ一つの作業に集中するあまり、時間切れになってしまうケースを多々聞くため、受検する際には時間配分に注意してください。
合格に必要な工具と費用
時計修理工具を販売している五十君商店さんでは、時計修理技能検定3級を受ける際に必要な工具をまとめているページが存在しているのでご紹介しますね。
一つ一つの工具の紹介も分かりやすく、「何を購入すれば良いか分からない…」という方にぴったりです。
過去の実技試験問題で記載されていた主な使用工具一覧は以下の内容になります。
2級
・デジタルテスター・裏蓋開閉治具・キズミ・定規・針抜き・やっとこ・ピンセット
・ドライバー・ピンバイス・ニッパー・ヤスリ・リーマー・さぐり棒・ベンジンカップ
・伏せ瓶・洗いバケ・メガネ拭き・そうじ棒・オイラー・オイルカップ・ブロア
・ドライヤー・照明・ロディコ・ネジ止め剤・時計油・シリコングリス・パッキン塗布器
・指サック・筆記具・電卓・上履き・ビニール袋
1級
上記に加えて歩度測定器を持参するようにします。
また、必ず持参が必要なものと自分で必要ではないと判断すれば不持参でも構わないものが混在しているので検定の前に繰り返しシミュレーションを済ませて、確認したいです。
いずれの級でも持ち物はその年ごとに変更されることが多いので、必ず事前に隅々まで目を通しておくことが求められます。
資格を取るとどんな場面で活かせる?
先ほどのメリットではより大枠でメリットをお伝えしましたが、ここでは実際にメーカーで勤務した際、また中古販売店でスキルを活かせるのか?を具体的に紹介していきます。
メーカー勤務での業務
メーカーでの勤務の場合、必ずしも技能検定の取得が必須ではありません。
技能検定の知識が活かせないというわけではありませんが、より専門性を磨く場所のため、一歩一歩学ぶ姿勢が大切になってきます。
街の時計修理店での実務
実際に修理の現場に入ることになるため、基礎的なオーバーホールの技術を活かすことができます。ですが、それぞれのムーブメントによって修理方法も異なるため、幅広い知識が必要になります。
そのため、その都度、先輩社員の方に修理方法やテクニカルガイドの有無などを確認し、修理を進めていくことが就職後、すぐに直面する問題として挙げられます。
多種多様な時計を直すことによって数が増え、自身の修理工房を持って独立する方もいるため、こちらもメーカー勤務同様、幅広い進路があります。
中古販売店でのオーバーホールや真贋鑑定
中古販売店ではオーバーホールまで行うところは稀かもしれません。ですが、簡単なメンテナンスなどを行っているところは多数存在するため、その際、時計修理技能検定で培った知識は役に立ちます。
また、真贋鑑定に関しては専門的な知識が必要なので慎重に対応する必要がありますが、裏ブタを開けて、刻印などを確認することである程度の鑑定は可能になります。
そして接客を行う際にも時計やブランドの歴史だけではなく、中身、構造までお客様にお伝えできるようになることで、売上の増加にも貢献できると考えています。
Frequently Asked Questions
ここからよくある質問について簡単に答えていきます。
時計修理は未経験からでもできますか?
はい、可能です。現在、オンラインウォッチアカデミーでも未経験から収益化を成功させている方が多数いらっしゃいます。
オンラインでも実技は身につきますか?
はい、オンラインであっても技術の習得が可能です。オンラインウォッチアカデミーでは月に一度、フォローアップライブという形でリアルタイムでの質疑応答も可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://online-watch-academy.com/about_contents/
どれくらいの期間で取得できますか?
学ぶ頻度、時間にもよるため、一概には言えません。受検できるのが1年に1回のため、1年、もしくは半年で資格を取得される方もいらっしゃいます。
私がいつもお伝えしているのが、繰り返しの学習が大事になってきます。例えば、私たちのカリキュラムであれば最低でも5回は反復練習していただくよう、ご案内しております。
もし、オンラインで時計修理を学びたい!と思った方はこちらから詳細をご確認ください。
https://online-watch-academy.com/curriculum-2nd/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事はオンラインウォッチアカデミーの講師である藤本が監修しています。
藤本信和
一級時計修理技能士。1973年東京都生まれ。
大学にて家具デザインを専攻、卒業後ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
ウォッチメーカーコースに通い、時計修理の世界へ。
時計店ではあらゆる修理・受付販売などに携わり、
その後東京のヒコ・みづのジュエリーカレッジにて講師として10年間で、
学生とキャリアスクールの社会人約600人に教える。
21年4月より東京都千代田区飯田橋に自身の工房、Foliot(https://foliot.co.jp/)を構える。
好きな時計はROLEX。趣味はカーレース(軽自動車の耐久レース)